「拠って立つ処」のためのメインテナンス(2)

前回の続きです。

ストレスと適応障害 つらい時期を乗り越える技術 (幻冬舎新書)
岡田 尊司
幻冬舎
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この本では適応障害を深刻化させないための方策が、具体的な例とともに書かれています。学校、職場といった場面別でも説明されています。

ところが、どうやってもストレス発生を防げない場合がある。一番分かりやすい例が、子育てそのものが適応障害の要因となる場合です。学校や職場と違って家族をやめるわけにはいかない。拠って立つ処が少なくなることが避けられない。

では、どうすればいいのか?

この本では最後の2章を使って、はまってしまったストレスから脱出するための方策のさわりが書かれています。「受動的なコーピング」「能動的なコーピング」に1章ずつをさいています。

受動的なコーピングとは、何かストレスになることがあったときに<略>その出来事の受け止め方(認知)を適切なものにすることでストレスを減らそうとするものである。受動的なコーピングの身近な例としては、聞き流すとか、気にしないようにするといったものだ。

この受動的コーピングのひとつの手として、自分に自信を持って、人の言うことは気にするな、と筆者は指摘します。

自分が最善と信じる行動をとるためには、日頃から自分で判断し、行動する習慣をつける必要がある。つまり、周囲の評価や結果ばかりに左右されない生き方をすることになる。それは、心が折れることから自分を守ることだけでなく、自分らしい本来の生き方にもつながるのだ。

ここでも、メインテナンスです。日々、自分自身を見つめ直す。そして、私はこれを読んで、ネットを見すぎるな、と解釈しました。自分に自信がなくなるのは、単純に入ってくる情報が多すぎるからではないか、という気がします。知らなきゃヘンな考えを起こさずに済むのに。それにネットばかり気にしていては、自分自身をメンテする時間が取られてしまう。

ただ、そうはいっても子育ては難しいと思います。自分に自信がないので満足に子供に接することができない。そして子供からは不満のフィードバックが山のように来る。この悪循環をどう断ち切ればいいのか?

ここで思い出したのが、「救命用具」です。緊急時の救命用具は、まず大人がつけてから子供がつける、というのを聞いたことがあります。大人の安全が確保できないまま子供に救命用具をつけようとしてうまくいかずに共倒れになるリスクを回避するためです。
そのような救命用具、あるいは脱出手段を常に確保し、メインテナンスを忘れないようにすることが、最悪の手段を防ぐ第一歩のような気がします。

そして、もう一つ大事なことは、完璧主義にハマらないこと。

実際に完璧主義な人は、適応障害を起こしたり、うつになりやすい。百点を目指していると九十点でも、不満足な結果でしかない。<略>百点ではなく五十点で満足する。みんなから評価されることを期待するより、自分を評価する人もいれば、評価しない人もいて当然だと思う。

やはり適応障害は真面目な人がなりやすい、ということがわかります。サボりたい人が完璧主義なはずがないからです。例えば、ちゃんとした食事を用意したいのに、体が動かない。そこを無理してなんとかやろうとする。私の妻が何度もハマってしまう状態です。頭の中ではやりたいのに、体は(おそらく心も)拒絶している。

もともと私は妻の食事の質に注文をつけたことは一切ありません。しんどいことは、一目見ればわかる。私だけでなく、子供もわかっている。何もわからない乳児ならともかく、4歳位にもなれば「おかあさん、だいじょうぶ?」ぐらいのことは言えます。これは危険信号です。ただちに「救命用具」が必要な状態といえるでしょう。

この項、続きます(次回で最後です)。

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