「デスマーチ」を生き残るために(1)

生き残れば十分なんです。少なくとも、最低条件ではないんです。

私はIT業界に勤めているわけではありません。ただ、ソフトウェア開発のプロジェクト・マネジメントには若干の興味がありました。子育てや自分の人生構築に何らかの参考になるかもしれない、と思ったからです。

この本は全ての子育てパパにオススメできる、というわけではありません。ソフトウェア開発の専門用語が頻発し、私も専門用語はあまり理解できていないと思います。ただ、1944年生まれの著者が、巻頭に

4世代にわたり家族が増えたことは、
デスマーチ・プロジェクトで、
何が重要で、
何が最優先すべきかを
適切に決める上で、
最大のヒントになった

と書いたのを見て、あ、これは期待出来る、と思いました。

まず著者は「デスマーチ」の定義から書き起こします。幾つかの定義の中で、こういう項目があります

通常必要な人数の半分以下しかエンジニアを割り当てないプロジェクト

二人の子供を持つ父親として言わせていただければ、両親の片一方が不在がち、あるいは病気がちで、子供が二人以上いて、かつ「実家」の定常的支援が得られない子育ては、ほとんどこれに該当する、つまり「デスマーチ」である、と言っていいと思います。現代の子育てにおいて、かなりの核家族は「デスマーチ」にならざるをえないのです。

その一方で、著者はこうも書いています

私の結論は、デスマーチ・プロジェクトは、常態であって、例外ではないというものだ。

異論がある方も多々あるかと思います。ソフトウェア開発と子育てを一緒にするとは何事か?と思う方もおられるかと思います。ただ、著者はデスマーチ・プロジェクトに反対しているわけではないことを強調し、その上で、デスマーチ・プロジェクトを成功させ、生き残るために何をすればいいか、に焦点を絞ってこの本を書いています。

そのために、これだけは覚えておいてほしい言葉として「トリアージ」をあげています。医療におけるトリアージの概念を聞いたことがあるかもしれません。特に救急医療において、限られた医療資源をどの患者さんにどの程度つぎ込むか、という難しい判断です。これを、プロジェクト管理にも応用するのです。乏しい資源(人、時間、お金)を何につぎ込むのか?

私が関係したほとんどすべてのデスマーチ・プロジェクトでは、システムの要求項目を、トリアージスタイルで、
「やらねばならぬ(must-do)」
「やったほうがいい(should-do)」
「やれればできる(could-do)」
の三つに分けるのが常識となっていた。

この三つの分け方は、単純ではありますが、私にとっては新たな発見でした。重要度を10段階に分けるよりよっぽどわかりやすいです。そして、すべての要求項目が「やらねばならぬ(must-do)」に入っている時点で、すでにおかしい、と容易に気づくこともできます。

もちろん子供に対して出来る限りの事はしてあげたい、というのは自然な親心ですし、残念ながらそれを無理に押し付ける人も少なくありません。でも、トリアージスタイルで、できないことはできない、と判断することは、ソフトウェア開発よりはるかに複雑な子育てにおいて、とても大切なことだと思います。

この項、続きます。

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