境目を越えて生きていく

そうか、そういうことだったのか

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術
KADOKAWA / 中経出版 (2018-05-25)
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この本は、タイトル通り主に発達障害の方に向けた「ライフハック」集。発達障害の当事者はもちろんのこと、家族に発達障害を持つ方にもおすすめできる本です。

ただ、単なるライフハック集ではありません。私は妻が半ば当事者であることもあり、発達障害の方が「生き抜く」ための本を何冊か読んでいますが、この本は、いい意味でそれらの本と「なにかが違う」と思っていました。

まず、ツイッターでも見られる独特の表現が随所に出てきます。これは前回ふれたマイノリティとしての伝え方に通じるものがあるのですが、この本に書かれている仕事の捉え方、世間一般に言われる会社生活の捉え方を読んで、これは単なる発達障害者の主張ではなく「この社会、なにか、おかしくないか?」という疑問を、あの独特の表現で言いたかったのではないか。

つまり、著者がこの本で最も言いたかったのは、発達障害者のライフハックそのものではないんじゃないか。著者の決め台詞である「やっていきましょう」でもないんじゃないか。

この発言の前後のツイートは関心を持って読みました。この社会の中で「境目を越える」ための一方策だったのですね。発達障害者の方「は」こうした方がいいですよ、という、なにか「閉じた」話ではなく。

あと、私がこの本で感じたもう一つのテーマは「誰でもなり得る」ということ。これも「境目」に関係するのですが、発達障害者とそうでない人に明確な区分があるのではない。実際私の妻、医師の正式な診断は出ていませんが、この本にも出てくるADHDの薬を処方され服用している妻は「境目」あたりにいそうだし、私自身もそうかもしれない。

実は、私も先日、これと同じようなことをしました。

この「外こもり」はうつ状態からの回復に非常に高い効果があると僕は思っています。(略)そこでおすすめしたいのが「ビジネスホテル外こもり」です。あなたの知らない町の知らないホテル(略)そこに連泊予約をして、後はひたすらダラダラしてください。

そう、うつになりかけているのです。今も、そうです。先日妻に頭を下げて、エスケープしてきました。このとき連泊はせず、ビジネスホテルにいたのはわずか17時間でしたが、同じ建屋内で夕食に出た以外、一歩も部屋から出ませんでした。それでも、日頃仕事+家事育児に完全にロックインされている私にとって、一定の効果はあったと思います。

タイトルは、この本の一項目「死に覚えて生きていく」をもじったものです。誰でもその「境目」を越えることがあり得る。今そうでない人も、いつそうなるかわからない。私もここに書かれたハックの一つを少しでもやってみた者として、このことを忘れないように今後もふれていきたいと思います。

photo by Globetrotter19 from Wikimedia Commons

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