「失敗」から考える「意志力」(2)

時間が空いてしまってすみません。
前回の続きです。

スタンフォードの自分を変える教室 スタンフォード シリーズ
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前回、「意志力」がもたないために「失敗」する例の一つを取り上げましたが、今回はまた別の例を。ある章に、人間はチンパンジーより「意志力」が弱い、という話が出てきます。学生とチンパンジーに、2つのおやつをすぐにもらうのと、2分待って6つのおやつをもらうのを選ばせました。すると後者を選択したチンパンジーは約7割だったのに、後者を選択した学生は約2割しかいなかったのです。人間の脳の一部、前頭前皮質はもともとそのような誘惑に負けやすい性質を持っているのだそうです。なぜか?

誘惑や先延ばしの問題の多くは、結局人間ならではのある問題に行き着きます。
それは、私たちが将来についてどう考えるかということ。
(略)
問題は私たちが未来を予想できることより、むしろはっきりと予想できないことにあるのです。

だから欲しいものは今すぐ手に入れないと気がすまず、やりたくないことを明日に延ばしてしまう。これも、私自身よくあることです。翌日になって「意志力」の弱さを実感してしまいます。

そこで、筆者は短期的な報酬を重要視する前頭前皮質の性質を逆に利用し、その「意志力」の弱さを突破するための提案をしています。ひとつは、単純にその誘惑を物理的に見えなくすること。おやつなら引き出しにしまうこと。これだけでも大きな違いがある、と筆者は指摘します。これはなんとなくわかります。スマホのブラウザのアイコンを見ただけですぐネットに入り浸ってしまう。単純に見えない場所にあれば、ちょっとは違ってくるかもしれません。

もう一つ、将来の報酬を強く意識すること。具体的には2分ではなく、10分待つこと。「10分待ってもやりたいのならやっていい」というルールを作ること。これだけで脳は目先の報酬ではなく、将来の報酬と意識するのだそうです。2分と10分で大きな違いがあるのか、正直まだ実感できていませんが、これまたちょっとは違ってくるかもしれません。

さらに将来の報酬への強い意識の方策として、筆者は「将来の自分に出会う」という方法を提案します。自分の将来を他人のように漠然とイメージするだけでは今の自分は変わりません。できるだけ具体的に自分の将来をイメージすること。例えば定期的にエクササイズを行って活力のある自分を具体的に意識する。そうすると、目の前の行動がかわってくると筆者は指摘します。

もっと賢い決断をするには、自分の将来のことをよく考え、そのためになることをする必要があります。現在の自分のすることは将来の自分にそっくりはね返ってくることを忘れないようにしたいものです。

この本の最後の章でも、結局大切なのは「自己認識」である、と筆者は指摘します。「意志力」の弱さを実感する自分を認識した上で、なんとか折り合いをつけて乗り越えていくこと。「失敗する自分」と全く違う「成功する自分」がいるのではなく、「失敗する自分」を認めた上で、それでも少しだけ違う方向に注意を向けて、なんとか「突破していく自分」をイメージしながら乗り越えていくことこそが、「意志力」の最も大切なことなのかもしれません。

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