君はゲームフルに生きられるか?(2)

前回の続きです。

スーパーベターになろう!
ジェイン マクゴニガル
早川書房
売り上げランキング: 106,574

第二部では「スーパーベター」をプレイする上でのいくつかの基本ルールについて書かれています。

ゲームフルな目標は、ベストを尽くせば達成できると思える理由がある場合、「現実的」になる。結局のところ、ゲームというのはクリアできるようにデザインされている。

そうは言っても、世の中に数多の「クソゲー」があり、「クソゲー」にならないよう、自分がプレイしたくなるようにゲームをデザインするのはそう簡単ではないような気がします。第二部の内容は、そのデザインのコツといったところでしょうか。ただ、そんなに奇をてらったことを言っているわけではなく、ある行動に対する考え方、向き合い方によってデザインが変わってくるのかもしれません。例えば、

スーパーベターをプレイするにあたっては、自分でカスタマイズした個人スコアをつけたほうがいいだろう。ゲームのルールを自分のものにし、自分のプレイをより深く理解するには、スコアをつけるのが一番だ。

単に行動を記録しよう、日記をつけよう、といわれるより「スコアをつけよう」といわれると、ちょっと向き合い方が変わってきます。スコア、ということは何らかの形で数字が入るわけですから、単に今日はいい一日だった、と考えるより

パワーアップアイテム3つ+悪者との戦い1回+クエストひとつ=その日の勝利

と考える方が、より明確にはなります。例えば「悪者との戦い」のレベル設定をするのは自分自身ですから、「勝利」のレベルはいくらでも変えられるのですが、あまりに「勝利」が少なければ、自分でレベルを下げればいいだけ。
仕事のレベルを勝手に下げれば上司に怒られるかもしれませんが、これはゲームです。ゲームのレベルを勝手に下げても誰も責めない、と考えれば、気持ち良くクリアできるゲームデザインを自分で調整することになるのでしょう。

もう一つ、いい考え方だなぁ、と思ったのが「ボーナスライフ」です。これもゲーム的な考え方ですが、スーパーベターをクリアした報酬は目標の達成だけではない。それがボーナスライフ。充実した人生の時間。文字通り長生きできる、と言っています。医学的な根拠もあるのだそうです。前回も申し上げた通り、このゲームが障害からの克服を原点としていることもあるのでしょう。

それを理解した上で、ボーナスライフの使い道を考えよう。ボーナスライフの恩恵を最大限に享受したければ、それを90歳のときに手渡しでもらえるボーナスと考えてはいけない。ボーナスライフは今日使うこと。

どれだけの期間プレイしたら、どれだけボーナスライフが増えるかの数字までこの本には明記されています。その数字がどれだけ正しいかは別にして「いつ使うの?今でしょう!」と強調しているのもこれまでにない考え方に思えました。

ゲームというものがこんなに奥深いものとは思いませんでした。ちなみに、著者はもちろん、訳者の方もゲーマーなのだそうで、ゲームに対する愛のようなものを感じました。

こちらもご参考までに(日本語字幕あり)
TEDGlobal 2012 Jane McGonigal:The game that can give you 10 extra years of life

君はゲームフルに生きられるか?(1)

おお たなべ、ゆうしゃロトの ちをひくものよ‥

ゲームと自己肯定をキーワードにしてみたら、こんな本に出会うとは思ってもみませんでした。前回の記事を書いたとき、この本の存在は全く知らなかったのです。

スーパーベターになろう!
ジェイン マクゴニガル
早川書房
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この本は、ゲームの科学を最大限活用した、自分の人生を変えるゲーム「スーパーベター」の公式ガイドブックです。
3部構成になっており、第一部はゲームが人生を良い方向に変える可能性とその科学的根拠がてんこもりに書いてあります。第二部は「スーパーベター」自体のルール解説、第三部がその応用編です。

あれだけ第一部をてんこもりにした理由は、あまねく行き渡っている「ゲームはムダなものだ」という固定観念を打ち破るためでしょう。ゲームに対する向き合い方一つで、ゲームは害にも最高の薬にもなる、と筆者は言います。

薬、と書きましたが、「スーパーベター」が重い脳震とうの後遺症から生還した筆者自身の体験がベースとなっていることもあり、この本でも何らかの病気や障害(ADHDを含む)からの克服を扱った体験談が多く挙げられています。ただ、一般的な目標達成ツールとしても使えそうです。

といってもピンと来ないかもしれませんね。ここは一つ具体例を挙げてみましょう。この本には多くの「クエスト」、つまり課題があり、その中のひとつをやってみます。

クエスト14 目的を持ってプレイする
大きな目的を持ってプレイするのは簡単なことだ。次の3つのシンプルなステップに従えばいい。
1.ゲームを選ぶ 自分がよくプレイするゲームをあげる
2.恩恵を見つける そのゲームをプレイすることで得られると思う恩恵をひとつあげる
3.目的と結びつける その恩恵は実生活のどんな目標、どんな状況に取り組むあたって役立つだろうか?

上記には「ひとつ」とありますが、ちょっと欲張って恩恵を2つあげてみます。

<回答例>
1.ドラゴンクエスト

2−1.戦略的に物事を考える
 然るべき場所にたどり着いてラスボスを倒さなければならないのだから、当然戦略が必要。単に行けばいいというのではない。その前に然るべき武器と経験値を稼がなければならず、多面的な思考が必要となる。

3−1.子育てをする
 子育てに「ラスボス」はないが、ある一定の目標を定め、その達成のための戦略構築は必要。目標自体が随時変更される可能性が高いが、行き当たりばったりでいい、というわけにはいかない。

2−2.多様性とリーダーシップを鍛える
 何人かのパーティーで行動する場合、個々のメンバーの性格や得意不得意、持っている呪文とか武器とかを的確に把握する必要がある。好き嫌いの問題ではなく多様性を認め、リソースを最大限に活用する必要がある。
 また、いくら多大なリソースがあっても戦いの場で発揮できなければ意味がない。そのため、リーダーシップを発揮して、メンバーに最大限頑張ってもらう環境作りも大切である。

3−2.家庭を経営する
 これは当然父が世帯を支配すればいいというものではない。家族全員が自分の持てる力を発揮して快適に暮らす。さらに言えば社会に貢献できるようにするため、物心両面でのバックアップが必要となる。

白状しますと、私はほとんどゲームをやりません。ドラゴンクエストも大昔にほんの少し手を着けた程度です。ですので、ドラクエに対して誤解があるかもしれません。ただ、ゲームの世界に置き換えると現実世界が再構築され、いい意味で客観視できるような気がします。

この項続きます。