うまくいかなくなる、その時に(1)

失敗する、つまり当初考えた通りに「うまくいかなくなる」のは、あたりまえのことなんです。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか
日経BP社 (2015-04-17)
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これは「起業家向けの経営書」なのですが、子育て家族の運営とスタートアップの会社の運営ってどことなく似てるところがあるなぁ、と思いながら読みました。どちらも「無」から「有」を生み出す営みなのです。私自身はスタートアップの経験は全くありませんし(この本を読んでなおのこと)こんな経験をする起業家にはなりたくないと思ったものですが、それでもテクノロジーに多少なりとも興味のある子育てパパにはおすすめできる本だと思います。

この本の最大の特徴は、成功するために何をすべきか、を書いた本ではない、ということです。いかなる優秀な経営者であっても、必ず一度は失敗する、つまり当初考えた通りに「うまくいかなくなる」ことがある、ということを著者は繰り返し強調した上で、そうなったときにどうすべきか?を書いた本です。

ところで、冬から春先にかけては、私にとって毎年一番家族の運営が厳しい時期です。妻と上の子供の体調が悪化し、いろいろなことが思う通りに行きません。この「うまくいかなくなる」と思った時の対応がとても大切だと、毎年痛感しています。

そもそも春先に体調が悪化しないように、事前にいろいろと手を打つわけです。去年もそうなったから、今年こそは、と思います。ただ、これが違う結果(つまり去年と同じ結果)になった時、徒労感が来ます。もうこの徒労感だけで体調を悪化させるには十分で、先のことを考えられなくなる。でも、そうは言ってられません。

ひとりで背負い込んではいけない。
自分の困難は、仲間をもっと苦しめると思いがちだ。しかし、真実は逆だ。責任のもっともある人が、失うことをもっとも重く受け止めるものだ。重荷をすべて分かち合えないとしても、分けられる重荷はすべて分け合おう。

何かのリソースが決定的に足りないとき、それをうわべで取り繕うとすると、必ずムリが来て、余計に事態が悪化します。だから、特にこういう時期は、この状況が「持続可能か?」を常に問いかける必要があるのかもしれません。そして、事態がより悪化する前に持続不可能だと判断して、何らかの手を打つ必要があるのでしょう。

まずは、判断ミスを認めて、リソースがないことを率直に認めることが必要です。ここに一つの大きな山があります。(私を含めて)人は誰でもミスを認めたくないものです。そして「持続可能」ではない、と気づいたら、いち早く声を上げて、周囲に認識してもらうことが大切だと思います。

「周囲」というのは物理的なつながり(つまり近所)でもネット上のつながりでもいいのですが、とにかく声を上げる。そうすると、なにかのレスポンスがある。思わぬところから強力な援助が得られるかもしれません。この春の我が家でも、実際にピンチになり、今までほとんど期待していなかったところからサポートを得ることができました。もちろん「逆効果」も有り得るのですが、それでも、まずは声を上げなければ始まらない。だから、ガマンして動かないのが最大のリスクであるような気がします。

この項続きます

ダンボール10箱の生活

このブログのタイトルの通り、私はシンプルな考え方や生活を目指そうとしていますが、その最終形がどこにあるのか、明確にはできていません。ただ、ある日この本を読んでいて、少なくとも途中経過としての具体的な考えが頭に浮かびました。

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
かんき出版 (2014-12-12)
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筆者が学生だったころ、非営利組織のビジョンおよびミッションステートメントを評価する作業のなかで、この一節が異彩を放っていたそうです。

彼(注:ブラット・ピット)はハリケーン・カトリーナに襲われたニューオリンズの復興の遅さに苛立ち、自らメイク・イット・ライト財団を設立した。その目標はこうだ。 
「ニューオリンズの下9地区に住む世帯のために、低価格で環境にやさしく、災害に強い家を150戸建設する」
このステートメントは、教室の空気を一変させた。

やはり具体的でリアルな数字があると、切迫感が格段に違います。これを読んで、ふとした考えが浮かびました。

自分に関するモノを「ダンボール10箱」におさめられないだろうか?

私はこれまで10回ぐらい引っ越しを重ねてきましたが、そのたびに運送屋さんから「荷物が多いですね」と言われてきました。これは結婚する前からそうでしたので、家族の問題ではなく、私自身がモノを持ちすぎる傾向があるようです。

例えばモノを300個に制限する、という考えもあるでしょうが、数えるのが大変なので、もう少しイメージしやすい考えとして浮かんだのが「ダンボール10箱」でした。ダンボールの箱に統一規格があるのかどうかわかりませんが、一人で持てるだけの大きさと重さを想定してみれば、この棚のこの部分で1箱、ぐらいのカウントはできそうです。

自分に関するモノ、というのは、衣類、書籍、音楽CD、書類、電子機器、鞄類、小物類、すべてを含みます。ざっと見て、現状は少なくとも20箱は超えそうです。ということは、半分は捨てる必要がある、ということになります。

一方で目標としての10箱のうち、先述の要素にそれぞれ何箱分をあてるか?と考える必要が出てきます。大きさだけで決まるものではありませんが、この区分けは自分の生活の指向を大きく反映しそうです。そして、その基準となりそうなのは

自分の生活を管理するにあたって必要なモノは何か?
自分に快適さを与えてくれるモノは何か?

この二つのような気がします。前者は税金を含めた広い意味での財産管理がまず浮かびます。紙で持っておく必要があるモノが少なくありません。後者はかなり電子化されたとはいえ、手元に持っておきたい本やCDがあります。ただ、今あるモノが全部必要か?といえば、そうでもないかもしれません。無人島にダンボール1箱分だけ本を持って行ける、kindleはダメだよ、と言われたら何を持って行くか、と考えるといろいろな想いが浮かびそうです。

以上はすべて、ある意味思考実験です。ただ、仮に私が急にこの世を去ったとき、残されたモノを見て私がどういう人だったかを連想することになるでしょう。その意味でも、あまりおろそかにはできない気もしています。